統合失調症の方々を理解するための二つのことば

「あせり」「ゆとり」という二つのことばは、統合失調症の方をおとしめない、つまり統合失調症の方の安全保障感を切りくずすことのない貴重なことばです。統合失調症の方は、「ゆとり」がなくなっているとき「ゆとりがない」と語られますし、「あせり」があるときは、それを感じておられます。

これらのことばは、初診時に、治療への合意のきっかけになりますし、激しい興奮状態を示す方への語りかけのいとぐちにもなります。再発を繰り返す方の気持ちを汲むときの鍵となることばでもあります。頻回に退院を希望される患者に、「それはあせりからですか、あるいはゆとりが出てきたからですか」と問うと、大抵の場合その質問の意味は理解されます。

何事においても待てないときは、「あせり」があると考える方がよいでしょう。「ゆとり」とは何かが不意に起こっても対処できる余力のあることですが、待つことができるようになれば「ゆとり」が出てきたと言えるでしょう。

「あせり」がなくなれば、「ゆとり」が交代して現れるというならよいのですが、そうではないようです。「ゆとり」が少しでも出てくると、すぐに使い果たしてしまい、また「あせり」が強くなることを繰り返してしまうことがあります。「あせり」の強い状態から、「あせりを自覚するゆとり」が生まれて、「あせり」がなくなり、さらに「ゆとり」がでてきて、「ゆとりを保っておけるゆとり」を持つことができるようになっていく。統合失調症の方々には日々のくらしの中に、ゆとりを保っておけるゆとりを持つことができるよう願っています。

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